母乳バンクでは、ドナーミルクを提供するにあたって細菌培養検査基準を設けており、基準より多く細菌が混入している母乳は廃棄されます。母乳への外因性細菌の混入は特に搾乳時に多いと考えられるため、母親のバックグラウンドや生活環境によって母乳中の細菌数・菌種が異なるかどうかを検討しました。

早産ドナー由来の母乳は、正期産ドナー由来の母乳と比較して総細菌数が多く、菌種についても多様性がみられました。また早産ドナーの母乳にはNICUで高頻度に検出される細菌が多く含まれており、これは児が入院するNICUに出入りするケースが多いためと考えられます（Miura K et al., Int Breastfeed J, 2023）。早産ドナーに対する衛生指導を強化することで、貴重な母乳の廃棄を減らし、より多くの赤ちゃんに母乳を提供するとともに、NICUに入院している児への経母乳感染リスク低減にもつながる可能性があります。