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研究活動研究内容

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ドナーミルク成分測定

母乳成分測定方法の開発

日本財団母乳バンクでは、提供する全てのドナーミルクについて成分測定を実施しており、測定方法の迅速化・簡便化、そしてコストの削減は重要な課題となっています。

微量栄養素であるカルシウム、リン、亜鉛の測定には、一般的にICP発光分析法や原子吸光法が用いられますが、これらの従来法は装置が高価で工程が煩雑な上、分析に時間を要する点が課題として挙げられます。そこで私たちは、臨床検査において血中や尿中のミネラル測定に広く使用される試薬に着目しました。比色法を測定原理とするこの試薬は、従来法に比べて工程が短く、必要な前処理は母乳の希釈のみであり、一般的な自動分析装置で測定が可能です。本試薬を用いて母乳中のカルシウム、無機リン、亜鉛を測定した結果、従来法との間に有意な相関が認められ、母乳中ミネラルの測定に有用であることが示されました(Tanaka M et al., J Clin Lab Anal, 2025)。

また、母乳中の免疫物質であるラクトフェリンの測定において、従来法であるELISAは測定に時間を要し、試薬代も高額です。そこで私たちは、ラテックス凝集法を測定原理とするラクトフェリン測定試薬を企業と共同で開発し、その妥当性を検証しました。ラテックス凝集法は、ラテックス粒子に特異的な抗体または抗原を固相化し、それが検体に含まれる抗原または抗体と結合して凝集する仕組みを利用した測定方法です。基礎的検討の結果、本試薬の精度、直線性、正確性が確認され、ELISAとの強い相関も認められました(Tanaka M et al., Int Breastfeed J, 2024)。またラテックス凝集法はELISAと比較して、測定時間を2時間半以上短縮し、測定費用を約55%削減できることから、日常的な測定に適しています。

これらの新しい測定方法を活用することで、より迅速かつ効率的に成分分析を行い、早産児に適切なドナーミルクを提供できると考えられます。

Contact母乳を必要としている
赤ちゃんがいます。
⽇本では年間5,000人の早産・極低出⽣体重の
⾚ちゃんが⺟乳を必要としています。